勝手にシリーズが完結して数日が経ち、平穏な毎日に戻っていた。休日、行きつけの店でコーヒー豆の焙煎が終わるのを待っていた。ふと顔なじみの店長がメモを差し出して来た。

「良かったらここに連絡してみて下さい」
「何ですか」
「ぷらさんのことをラジオで聞いたらしくて、記事にしたいそうです。ブログを見て、うちに通っていることを突き止めたみたいで、渡してくれって…」
「はあ。」

きょとんとしてしまった。ラジオ?新聞?何だか縁遠い世界からの招待状だった。そして、とりあえず、その記者さんとやらに電話してみることにした。そもそも、ラジオって何だ?ちんぷんかんぷんだ。電話の先にはノリのいいおっちゃんの声。「面白いことやってるなと思ってさ。ちょっと話聞かせてよ」近所のファミレスで会うことになった。まず何よりラジオの謎が知りたかった。デニーズだ。

「栃木放送で聞きつけてさ、○○っていう番組。」
「挑戦っていうテーマだったけど、先生が「友人が箱根駅伝のコースをひとりで全部走った」って言っててね」

ようやく合点が来た。先生というのは、僕が初めてマラソン大会に出た時に、会場までの道を教えてくれた人だ。初めての大会で不安な中、駐車場から会場までの道程を案内してくれて、各地の魅力的な大会を教えてくれた。大会が終わった後もネットを通じて交流を続け、僕のマラソンの励みとなってくれた人の一人だ。

何だか嬉しかった。僕にマラソンの魅力を教えてくれた人が、僕たちの話をしてくれたんだと。そして、何よりこの記者さんも興味を持ってくれている。よくよく話を聞いてい見ると、この人も自転車をやっているらしく、結構な距離を走っているらしい。ランニングの魔法を否定しても仕方ない。僕はどっぷりつかることにして、すぐに慶太さんとまーちゃんに電話した。慶太さんは面白がってくれて快諾。恥ずかしがり屋のまーちゃんは最初嫌がっていたけれど、匿名を条件に記事に登場させても良いことになった。(お蔭で数日後まーちゃんのあだ名は「友人女性」になる)藤沢でジムの仲間が撮ってくれた写真まで掲載された。ああ、最高の思い出になったな。こうして、勝手に箱根駅伝は有終の美を飾り終わった。

次の目標はと聞かれた。

「東京マラソンで思い切って仮装」

と答えた。

(何気ない一言だったけれど、これが、後で化学変化を引き起こしたのだった)